ヨウ素(ヨウそ、沃素、英: iodine)は原子番号 53 の元素。元素記号は I。あるいは分子式が I2
と表される二原子分子である沃素の単体の呼称。
Q:原子力施設での臨界事故があった場合、どうしてヨウ素剤を服用するのか
A:原子力施設において、臨界事故が発生した場合、ヨウ素、キセノン、クリプトン等、種々の放射性
物質が放出されると言われている。この中で、放射性ヨウ素(131I)は、放出される割合の最も高い
放射性物質であり、施設を破壊してしまうほどの事故の場合、気化して大気中に広範囲に拡散しや
すい上、呼吸や飲食により体内に吸収されやすいため、内部被曝を起こす物質として特に注目されて
いる。
本来、ヨウ素は、甲状腺ホルモンの構成成分として生体に必須の微量元素であり、体内には約25mg
が存在する。また、海草に多く含まれ、1日の摂取量は成人で約1.5mgとされている。一方、甲状腺は、
ヨウ素を取り込み蓄積するという機能があるため、原子力施設の事故で環境中に放出された131Iが
体内に吸収されると、甲状腺で即座に甲状腺ホルモンに合成され、甲状腺組織の中で放射能を放出し
続ける。その結果、放射能による甲状腺障害が起こり、晩発性の障害として甲状腺腫や甲状腺機能
低下症を引き起こすとされている。
これらの障害を防ぐためには、被曝する前に放射能をもたないヨウ素を服用し、甲状腺をヨウ素で飽和
しておく必要がある。こうすることにより、131Iにより内部被爆しても甲状腺には取り込まれず予防的効果
が期待できる。その際、ヨウ素剤の効果は投与する時期に大きく依存するとされており、表に示すとおり
被曝直前に摂取した時に効果が最大で、時間が経過するとその効果は薄くなる。
100mgのKIを投与したときの131I摂取防止率
投与時期 131I摂取防止率
被曝24時間前投与 約70%
被曝12時間前投与 約90%
被曝直前投与 約97%
被曝3時間後 約50%
被曝6時間後 防止できない
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